優しさの理由(ワケ)
じー・・・ じいーーーー・・・ 「な、なんだよ?」 いつものごとく魔法研究院の練習室で本を読んでいたマーロ=フェリエは真横からくる空色の視線にとうとう根をあげた。 こんなにじーーーと見られて誰が冷静に本を読んでられるものか。 まして見つめてくる相手が目下一番気になっている女の子 ―― 今年の春にコロナの街へやってきたモンクのアリアとあればなおさらだ。 「う・・・ん。」 聞かれたアリアの方は妙に歯切れの悪い返事を返して、困ったように首を傾げた。 その仕草にマーロはぴんっとくる。 「言いにくい事か?」 「うん・・・・怒んない?」 小首を傾げて見上げられてマーロはうっと呻きかけた。 おそらく無意識でするのだろうが、アリアにこんな風に見上げられて逆らえる人間の方が少ないのだ。 「お、怒らないから言ってみろよ。」 「ホント?!あのね・・・・」 ぱっと顔を輝かせるアリアにマーロはいやあな予感を覚えた。 しかしそんな彼の心の内に気がつかないのが彼女が彼女たるゆえんで、アリアは言った。 「マーロって優しいよね?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」 マーロがポカンッとしてしまったのは仕方がないとしかいいようがない。 もちろんアリアはそんな事お構いなしにしゃべりだす。 「あのね、この間ルーちゃんとおしゃべりしてたらマーロは無愛想だって言うの。他の人に聞いても優しくないって・・・・」 それが正当な評価だろうな、とマーロは思わず頷いた。 アリアに出会うまで人に優しくした覚えはあんまりないから。 しかしアリアはいかにも不本意!という感じで唇をとがらせる。 「マーロはすごく優しいのに。でもそう言うとみんな笑ってマーロが優しいのは私にだけよって言うの。」 「ちょっと待て。それ誰に聞いた?」 「え?えーっと、ルーちゃんでしょ、アルターでしょ・・・・カリンちゃん、マスター、ユーンにも聞いたかな。」 アリアが羅列した名前にマーロは眉間を押さえてしまった。 (なんでそんなに大勢に俺の気持ちがばれてんのに、当の本人が気がつかないんだよ) そう、マーロが想いを寄せる目の前のアリアは超!をいくつつけても足りないほどの鈍感娘なのだ。 マーロがアリアだけに優しい理由・・・・そんな事、周囲の人間にしてみれば一目瞭然なのに。 それなのにアリアは今も「どーして?」とばかりに目をくりくりさせて訴えかけてきている。 (ああ、もう!誰かこいつの頭をパカっとあけてこの超鈍感回路をどうにかしてくれ!) ・・・・しかし心の中で叫んだ所で誰もアリアの頭をパカッと開けて天然記念物ものの超鈍感回路をどうにかしてはくれない。 「ね、どうして?どうしてマーロは私に優しいの?なんでみんなはわかってるの?」 「う゛・・・・・・・・」 マーロは完全に進退窮まってしまった。 自分がアリアにだけ優しい理由。 それを説明する方法はたった1つだけ・・・・ 「それは・・・・」 「それは?」 言ってしまおうか?いっそ。誰かに取られる前に・・・ いや、でも想いを伝えるのは彼女の呪いが解けてからと思ってるし。 2つの考えが頭を駆けめぐってマーロはパクパクと言葉にならない言葉を発する。 ―― ちょうどその時、ガラス張りの部屋に追い込まれたガマのごとく脂汗が流れるマーロの頬を秋口の涼しい風が撫でた。 (!そうだ!) その瞬間浮かんだ考えにマーロは口を開いた。 「俺があんたに優しいのはだな」 「うん!優しいのは?」 断言しよう。 この時マーロの脳裏は完全にショートしていたのだ。 だからマーロはきっぱり言った。 「この陽気のせいだ!」 ―― きょとんっとしたアリアの頭上で柔らかい日差しを投げかけるお日様が「濡れ衣だ」とばかりに雲に顔をかくしたとか。 〜 END 〜 |
― あとがき ―
初めて書いてみた「かえるの絵本」の創作v
書いてみた・・・けど駄文だなあ(^^;)
いまだにロスト編はクリアしてないのに、愛だけで書いてみちゃったもんですから。
でもマーロ、可愛いですよねv
主人公には最初っからかなり甘いし(少なくとも私はそう思った・笑)
瑠璃色の絵本では随分頑なな男の子だったみたいなので、そのへんのキャラのギャップを
かいてみたかったんです。
でも今度はロスト編をクリアしてラブラブvな2人を書いてみたいな〜と思います。
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